肌トラブルの中でも、シミに悩まれている方は多くいらっしゃいます。ですがシミと一言で言ってもさまざまな病気が含まれています。
この記事ではシミにはどういった病気があるのか、またシミの治療法について解説していきます。
シミの定義
シミという単語にはさまざまな疾患を含んだ広い概念と、特定の1疾患のみを示す狭い概念とがあります。
広い概念の場合、色が付いた皮疹で通常の地肌よりも濃くみえる部位を示します。ここでこの色は、メラニン色素が沈着した結果生じるものとなります。
一方狭い概念の場合は、医学用語で老人性色素斑(日光性黒子)と呼ばれる特定の疾患のみを示します。これは紫外線の影響と考えられているタイプのシミで、老人性という名前ですが早い方では20〜30歳代から見られることがあります。円形の形をしており、周囲の正常皮膚との境界がはっきりとしていることが特徴です。
シミの定義には2つあるということが理解いただけたかと思います。「シミ」と一言で言っても、広い概念の呼び方をした場合はさまざまな疾患が含まれますので、治療方法もそれぞれ変わってきます。
続いて広い概念のシミにはどのような疾患が含まれるかを解説します。
シミの分類:良性, 悪性
広義のシミには狭義のシミである老人性色素斑も含まれ、その割合は半数以上を占めるとされています。
その他に含まれる疾患としては、肝斑(かんぱん)やそばかす(雀卵斑)、太田母斑、脂漏性角化症、炎症後色素沈着などがあります。これらの疾患は見た目の問題こそありますが、悪性疾患ではありません。
一方で悪性黒色腫や基底細胞癌といった悪性疾患がシミのように見えることがあり、注意が必要です。
ここまでの話をまとめると、以下のようになります
- シミという言葉はさまざまな意味で使われ特定の疾患を示す単語ではない
- シミの中で最も頻度が高いのは老人性色素斑と呼ばれるタイプのもので、老人性という名前だが20〜30歳代から見られる
ここからは老人性色素斑に絞って、予防のポイントや治療法について解説していきます。
シミ予防のポイント
ここではシミを予防したいとお考えの方に、気をつけていただきたいポイントを紹介します
まずは紫外線対策を心がけましょう。紫外線はシミだけではなく、しわ・たるみの原因にもなり、美肌の敵です。真夏以外も降り注いでいますので、春・秋・冬も油断せず、しっかり対策しましょう。
日焼け止めを使うことが最も一般的ですが、日焼け止めは時間の経過で落ちてしまいやすいため、できれば数時間ごとに塗り直すことが望ましいです。日傘や帽子など、直射日光を遮るものを併用するのもおすすめです。
続いて注意したいのが、洗顔の方法です。ゴシゴシこするような洗顔や強くパフを押し付けるベースメイクは、肌に負担をかけます。擦れる刺激によって皮膚にシミが生じてしまったり、すでにあるシミが濃くなってしまう危険があります。
日常生活を心がけてもシミが続いている場合は、医療機関で治療を受けることができます。
シミの治療
シミの原因はメラニン色素の沈着であるということをご説明しました。このメラニン色素を破壊したり皮膚からの排泄を促すことが治療の基本となります。
具体的には光線を用いた治療としてライムライトやアキュチップが行われます。これは簡単にいうとカメラのフラッシュのような光を当て、この光がメラニンに当たることで熱に変わってダメージを与えるというものです。ライムライトは顔全体に広く治療を行うのに対して、アキュチップは気になる場所にピンポイントで当てるのに向いた治療法です。この両者を併用で行うこともあります。またシミが進行し、盛り上がってしまった場合にはCO2レーザーというタイプのレーザーで隆起した部分を削る治療が行われます。
これと並行して、内服薬としてビタミンCとパントテン酸を含むシナールという薬がよく用いられます。ビタミンCはメラニン色素の産生を抑えることでシミを薄くする効果が期待できます。パントテン酸はビタミンB群の一つで、ビタミンCの働きを助ける作用を持っています。
スキンケアによってもメラニン色素の排出を促すことができます。当院ではゼオスキンを取り扱っています。ゼオスキンはハイドロキノン(メラニン色素の産生を抑制する)やトレチノイン(肌のターンオーバーを促進し、メラニン色素の排出を促す)が含まれており、シミ対策として効果が期待できるスキンケア用品となっています。
まとめ
今回はシミの種類や予防法・治療について解説しました。
シミと一言でいっても、年齢に伴って生じてくる最も多いタイプ(老人性色素斑)だけでなく、さまざまな疾患があります。とくに良性の疾患だけでなく、悪性黒色腫のような悪性疾患の可能性もゼロではないことに注意が必要です。またこれらが混在して見られることもあります。
もっとも一般的なシミである老人性色素斑の予防法としては紫外線や擦りすぎなど刺激を避けることがまずは大切です。
できてしまったシミがなかなか改善しない場合は、正確な診断や治療のためにもお近くの皮膚科・美容皮膚科を受診してみてください。